一日目(12月15日 木曜日)

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「罰ゲームと称して好きなお願いができる……つまりはあーんな事やこーんな事もし放題だぜ!?」 やっぱり下らなかった。というより初めて会話をした相手にあーんな事やこーんな事やそーんな事をお願いできる歩の頭に驚く勇助であった。 「そーんな事までは言ってないぞ!」 とにもかくにも勇助は罰ゲームになど興味はない。今はただ、勝ち負けにこだわるだけ。 「待て待て勇助!!そんな勝ち負けにこだわってるだけが人生じゃないぞ!!いいか?人生ってのはな…楽しんだ者勝ちなんだよ。って、いやいや、勝ち負けじゃないんだよ…楽しんだら勝ちとか負けじゃなくてだな…とにかく!あの!四ノ宮さんに何でもお願い聞いてもらえるというのは全校男子の望みであり、悲願でもあるんだ…それをお前は勝ち負けだけにこだわりやがって…男たるもの愛に生き、愛に死ね!!…………って、勇助?勇助?」 歩の延々と続くくだらない話は誰も聞いていなく、窓際最後列の勇助の席の近くには歩以外いなかった。 どこに行ったと教室を見渡す歩は教卓の目の前の机2つをくっつけ、向かい合わせで座る勇助と咲姫を発見した。 「で?記念すべき一日目の今日は何で勝負するんだ?さっきも言ったが勉強と美術以外な。」 「そうね…勝負と言っても面白くなきゃつまらないから…トランプなんてどう?」 「……………トランプ?」 「そう、トランプ。」 古今東西、ゲームと言えば沢山あるだろう。なのに何故このお嬢様はトランプなんて庶民の遊びをチョイスしたのか… 疑問に思う勇助だが考えたところで他に何かいい案があるわけでもない。 「まぁ…それでいいか。」 「そう、ありがとう。じゃ、種目はポーカーでいいかしら?最近覚えたばかりで誰かとやりたかったのよ。」 「あぁ。」 (何だ…誰かと遊びたかっただけか?) クラスメイトとはいえ、勝負挑むというからどんな理由があるのかと思っていた勇助だが『ただ遊びたいだけ』と分かって納得。 それにポーカーならば勇助もたしなんだことはあるし、昨日今日覚えた相手に負けるわけはない。 (じゃ、ここは少し箱入りのお嬢様に世間の厳しさって者を教えてやるか。) 自信に満ち溢れる勇助。負けることなど絶対にあり得ないと確信していた。
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