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初めて喋ったのは、新学期初日の席替えだった。
俺、緒方晴夏はクラスによくいる女っぽい名前と女顔となかなか伸びない身長を気にする思春期の普通の男子。
成績、中の上。
運動、中の上。
顔、中の上(だと思いたい)。
因みに、授業中だけ眼鏡を掛けたりと、普通の中の普通、むしろ普通を極めし者だ。
それに対し彼女、水原要は、
成績、特上。
運動、特上。
顔、特上。
という、世に言う完璧人間ってヤツだ。(因みに、視力は両目とも2.5らしい)
特に、ルックスなんかは、陰で、「神に愛されたんだ」と言われるくらい凄い。
スラリとした、女子にしては高めの背。肩にかからない程度の短めの髪。しなやかに伸びる手足。猫目がちなパッチリとした目。スッと通った鼻。
どこを見ても、完璧としか言えない外見。
入学してから、何人もの男に告られたが、全て「ごめんなさい。」の一刀両断。男どころか、その中性的顔立ちからか、女からも人気がある。
全部、人から聞いた話だけど。
そんな水原と俺にもちろん接点などなく、名簿も遠い(男女混合になっている)ため、何かのグループ決めでも全く関わることはなかった。が、担任の「名簿で並んだ席なんかつまらんから、席替えするか!」と、なんともどーでもいい個人論により、席替えをした結果、晴れて窓際から二列目最後尾をゲットしたと同時に“完璧人間”水原要の隣りまでゲットしてしまったわけだ。
水原は窓際最後尾だから、隣りは俺だけ。そのことで、クラス中から恨みや妬みを買ったが、クジだから仕方ないと思う。
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