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寝間着代わりのスウェットのままでポットでお湯を沸かしてテーブルの上のコーヒーカップに直接注ぐ。
カップの底には粉が敷いてあって、何時でも酔い醒ましのインスタントコーヒーを飲む為の用意だ。
ふとポットを持った左手に目をやると中指にリングが嵌まったままだった。
髑髏をあしらったそれはむくんだ指にがっちりと噛み合って外れそうもない。
苦いだけの褐色の液体を啜りながら煙草をくわえる。
黒みを帯びた濃い茶色の巻紙に、金色の三本線。
吸い始めたのは五年前からだ。
勿論自販機になんか置いてないマイナーな品だからカートンで買い置きをしてある。
チェリーの甘さがフィルターから舌に伝わって、コーヒーの安っぽい苦味と酸味と混じってとにかく複雑で妙な味だ。
火を点けようとしたが枕元を捜してもあるのは陶製の灰皿だけでオイルライターが見当たらない。
布団をひっくり返した畳の上にも、昨日着ていたコートのポケットにも無かった。
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