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俺は全速力で逃げた。追い付かれないように…まだはいずり回っている人はいたが怖さが比にはならなかった…女からは言葉では言い表せない寒気を感じた。それが殺気というものなのか。
少し間を開けたので、一気に逃げようとすると、さっきまで無かったはずのフェンスが四方に張り巡らされていた…
タッタッタッ…
たちまち足音が大きくなってきた。姿が大きくなってきたところで、本能が叫んだ。
『逃げなきゃ死ぬ。』
知らず知らずのうちに体が勝手にフェンスを登らせた。頂上が見えないほど高い…
ある程度上に上がった時に、自分じゃないフェンスを登る音が聞こえてきた。その音は尋常じゃないほどはやかった。俺は恐怖のあまり足がすくんだ…
下から凄いスピードで登ってくる何かは、恨めしそうな目で睨みながら登ってくる。
恐怖のあまりついに動かない足が掴まれてしまった…強い力で掴んでいる…
『もう終わりなんだ…』
そう思うと意識がどんどん遠退いていった…
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