哀しみ

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次の日、お互いの想いを知った優介と絵里もいつも通りだった。 『いつも通りの友達』に戻っていた。 4人とも『友達』でこれで良いって思った。 私と絵里と優介と翔で… 仲良し4人組で卒業するのもいいなって、そう思ってたのに…。 優介…もっと一緒にいたかったよ…。 絵里…今、幸せにしていますか…? あの頃に戻れるなら、全部伝えるのに…。 『皆大好きだよ』って、伝えられるのに…。 「起立――礼―」 運命の日はやってきた。 私達の歯車が崩れて落ちた、悪夢の日。 号令がかかって、生徒達は帰宅――。 「ねぇねぇっ、今日パフェ食べに行かない?激安デーで150円なんだってっ」 絵里が立ち上がったと同時に私にそう告げた。 パフェは私の大好物。 そうなると答えは勿論… 「行く行くっ!ね、優介と翔も行こうよっ」 心境の変化って凄いよね。 最初に優介に誘われた時は『絶対嫌』だったのに、今じゃ自分から誘ってるんだもん。 「悪ぃっ、俺、今日バイトなんだ」 「俺も今日は部活のミーティングが入ってて…」 「そっか…」 しかも2人が行けなくてがっかりまでしてる。 本当にもう…自分でも驚いてるよ。 「マジでゴメンな。この埋め合わせは絶対すっからっ」 「うん、分かった。それじゃあ、また明日ね」 「おぅ、またなっ」 優介は手を振って教室を出ていった。 これが優介の最後の姿になるなんて、その時は思いもしなかった…。 『またな』って… 言ってくれたのに…。  
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