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途端に空気が濃くなって息苦しくなる。
[俺だって…暮巴さんが死んだなんてまだ信じられないよっ。でも…だからこそ会いに行くんじゃないかっ…暮巴さんに…過去の、あの場所に]
[……。]
奥歯をこれでもかと噛み締めているのが傍から見てもよく分かる。潤んで震える瞳が、何よりも強く隣の胸の最深部に訴えかけた。
[お願いだから…一緒に行こうよ、隣。暮巴さんに……会いに行こ? ]
両の目を固く閉じて深く強くためた息を吐き出し、しばらく床を見つめ、後に頷いて隣は重い腰を上げた。
カウンタ─の上に数枚の札を置き去りにして店を出る。途端に酔いの回った足がよろめいて、すかさず小柄な出雲が腕を持つ。
[…わりっ]
[もう慣れたから]
[そだな。]
一年や二年なんて付き合いじゃねぇしな…
ふっと笑えば、確かな友人もふわりと微笑み返してくれた。
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