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[春日さんと秋橙さんはもう着いてるみたい]
[あっそ。]
街路を抜けて、記憶に刻み込まれた風景が現実に蘇ってくる。
二度と会うことはない、会いたくもないと思っていた面子とこうしてまた見(まみ)える羽目になるとは人生とはほとほと分からない。
俺は終始、自身の靴の先端を見つめたままだった。
[…巽さんも、来るのかなぁ? ]
[来るわけねぇだろ]
[う…ん、でも暮巴さんと一番仲良かったし]
[あれは仲良かったというよりかは、暮巴が無理矢理振り回してただけじゃね? 巽の野郎がいつもここに青筋立ててたの忘れたか? ]
[めちゃめちゃ覚えてるけど…でも、パートナーだったんだよ……? ]
[……]
暮巴と巽を筆頭に、俺と出雲、春日と秋橙の六人は一つのチームだった。
向かう所敵無し──俺たちに、まして暮巴と巽に敵う奴なんてこの世に存在するわけがないと、いつしか天狗になっていた。
[あいつは…巽覇王は、死んだ奴にわざわざ会いに来るなんて人間くせ─ことするわけがねぇ]
まさか…あんな形で伸び過ぎた鼻がへし折られるなんて、予想だにしていなかった。
俺たちの誰もが、現実を現実として受け止めることさえ出来なかった。
[…となり……あ、着いたよ]
八年間も背中を向け続けてきた過去に、こんなやり方で終止符が打たれるなんてやはり誰も予想していなかった……。
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