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道なき道を進んでいく。
吐く息は白く、寒さが目に見えて現れる。
「寒い」
そういったところで状況が変わるわけでもないのに、
真田啓之はつぶやいた。
いや、正確には前を歩く彼女に対してのいやみも少し混ざっている。
「さ、」
「うるさい!」
そう怒鳴ってこちらを振り向いたのは森下咲夜。
同じ高校同じクラス、いわゆるどーきゅーせい。
俺たち二人は今、風間山という山を登っている。
この冬の寒い時期に。だ。
何故こんなところを登ることになったのかというと、
3日前に遡る。
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