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目の前の白銀の世界に 身体中の全ての神経が集中していたのであろうか。 「これは反則だろ」 美しい。 ただその一言につきる。 他に言葉を付け足したら、この景色に失礼なような気さえする。 余談だが風間山という名の山は、この市の観光名所となっている。 その理由はこの頂上の「風」である。 世界の「風」はここから出ているとまでいわれる。 「さすが風間山って感じね。風が強い」 風に揺られる咲夜の肩の少し下まで伸びた髪と この景色を重ねてみると、すがすがしい気分になった また、強い風が吹いた。 それを合図にしたかのように、 自分でも気づかぬうちに、 涙が流れていた。 帰り道。 会話が弾んだ。 きっと美しいものは人の心までもきれいにしてくれるのだろう。 だが、 その心は、すぐに揺れ動いてしまう。 例えばいまここで、地球壊滅まであと3日と知った者達のように。 by ragurai
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