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帝殺 勇魔には一つの懸念(けねん)があった。
それは、あの鍼金 電波とかいう少女が勇魔のクラスに生徒として現れることだ。
謎の怪人に襲われる主人公を美少女(美少年)が助け、その後主人公のクラスにその美少女(美少年)が転校生として現れる。なんてのはよくある展開だ。
が…
「杞憂だったか…。」
あの時の鍼金の口ぶりからして十中八九現れると思っていたが、朝のHRが終わった今 鍼金 電波は結局現れなかった。
「…まぁ、あれだな。世の中そう漫画みたいに展開するわけがないって事だな、うん。」
そうか、あの護鬼噛も鍼金 電波も単なる頭の逝かれたコスプレイヤーで俺はあの二人にからかわれてただけなんだ。
そうだ。絶対そうだ。
が、そんな勇魔の希望的観測はすぐさま崩されることになる。
「しょぉぉおねぇぇぇん!!!!」
ん?何やら廊下の奥の方で聞き覚えのある声が響いているぞ。
「どこだぁあ!?少年!!」
ああ、声がどんどん1年3組の教室に近付いてくる。
「ったく…少年の教室はどこだぁあ!!」
間違いない。
この可愛いらしい声に似合わない男口調は…。
「……あ、いた。」
あれれ?教室の扉の方から例のお声が。
「少年、発見!!」
「そろそろ桜も見納めだなぁ…もう、5月だもんな。」
「こらぁ!現実逃避すなっ!!」
自分が現実逃避を喚起(かんき)するような存在だってことは自覚してるんだ…。
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