一章

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話を少し夜が明ける前に戻す。 リルが変装をして町に出て行く。 しかし、兵士に見つかり、慌てて逃げる。 なるべく、人混みが激しい所を通り走る。 女性の足では、逃げるのに、限度がある。 ふと走るのを止め、顔を上げると、そこには宿が目に留まった。 急いで中に入り、カウンターにお金を置き、部屋にこもり、鍵を閉める。 一先ず隠れて、体を休める事にした。 そこには、ベットの上で横たわり、寝ている男性がいる。 横には大きな剣が立てかけてある。 どうやら慌てて入ったため、間違えて、人が借りてる部屋に入ったようだ。 実はこの宿、王妃の誕生際で、それを見にくる観光客で部屋は一つも空いていない。 それを言いに、宿の人が、リルを捜しに来た。 ちょうど、リルの隠れた部屋に訪ねてきた。 「コンコンッ!お休みの所失礼します。若い女性が入ってきませんでしたか?」 宿の亭主がドア越しに訪ねてきた。 リルが話そうとすると、後ろから口を塞がれる。 「ああ。すまない。俺の連れだ!ここで待ち合わせをしていたんだ!金なら置いたと思うが、足りなかったか?」 男性がリルの口を塞ぎ、喋る。 「そうでしたか。それは気が付かず申し訳ありません!ゆっくりお休みになってください!」 そう言うと亭主は下に降りていった。 下に降りていったことを確認し、手を話す。 「で…夜遅くに、忍び込んできたのは何のようだ?まさか盗みをしに来た訳ではないだろ。」 男性が椅子に腰をかけ、水を飲みながら問い掛ける。 「助けていただき、ありがとうございました。暫くしたら出ていきますので、それまでかくまって下さい!」 リルは素直に頼んだ。 「………」 男性は窓の外を見ながら考える。 「なる程、兵士達に追われているって事だな。てことは、あんた女王様か?」 「!!!」 リルは驚きを隠せず動揺をしていた。 「図星のようだな。何でって、顔にあるが、簡単な事だ。兵士達が必死になって捜したりするのは、その城の大切な人、物が無くなった時だ!ここから見る限りでは、王も王妃もいる。しかし娘の姿が無い。王妃の誕生際にもかかわらず、いないのはおかしな事だ」 男性はリルの顔を見て語りかける。
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