道徳観念うんぬん

5/11

107人が本棚に入れています
本棚に追加
/70ページ
  以来、空き家となっていたわけだけど、あたしは早くお隣さんがほしかった。 年の近い子だといいな。 じゃなけりゃ、優しいお姉ちゃんがいいな。 でも一番は、超能力者が来たらいいな。なんて、 あたしは密かに思ってた。 リビングに通されると、机を拭いているパパさんと鉢合わせ。 「ママ。その子は?」 「お隣の坂名さん家のお嬢さんよ。私たちに、引っ越しのご挨拶に来てくれたの」 「名前は“アキ”です!」 「そうかい、アキちゃん。どうもありがとうねえ」 あたしの目線まで、腰を屈めて話すパパさんも、控えめで優しそうな人だった。 親だったら、絶対に損はしなさそう。 でも代わりにあたしの胸には、非常識な不満がどんどん募る。 ふつーだな……。  
/70ページ

最初のコメントを投稿しよう!

107人が本棚に入れています
本棚に追加