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以来、空き家となっていたわけだけど、あたしは早くお隣さんがほしかった。
年の近い子だといいな。
じゃなけりゃ、優しいお姉ちゃんがいいな。
でも一番は、超能力者が来たらいいな。なんて、
あたしは密かに思ってた。
リビングに通されると、机を拭いているパパさんと鉢合わせ。
「ママ。その子は?」
「お隣の坂名さん家のお嬢さんよ。私たちに、引っ越しのご挨拶に来てくれたの」
「名前は“アキ”です!」
「そうかい、アキちゃん。どうもありがとうねえ」
あたしの目線まで、腰を屈めて話すパパさんも、控えめで優しそうな人だった。
親だったら、絶対に損はしなさそう。
でも代わりにあたしの胸には、非常識な不満がどんどん募る。
ふつーだな……。
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