世界が揺らぐ

3/10
前へ
/70ページ
次へ
  邪魔だった。 その長い前髪は、彼の瞳を覗くには邪魔だった。 「ハル……」 何故か、彼の名前を呟いたあたし。 まるで、ようやく今、初めてハルに出会ったように。 「アンタ綺麗よ……」 「は?」 「ハルって綺麗だわ! どうして、こんなに綺麗な顔の男がいるのっ? すごい、すごい!」 「なにを言ってるんだ、アキは……」 どうでもよさそうに、ハルは頭を掻いた。 その美貌をひけらかさないなんて、なんてもったいない。 「それを言うなら、アキだって可愛いよ」 「気休めでしょー?」 「僕は人を褒めない」 「~~~~……」  
/70ページ

最初のコメントを投稿しよう!

107人が本棚に入れています
本棚に追加