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「あたしがハルの世界? ……に入れたわけ。あたしたちが似てるからじゃないかな?」
「ふむ」
ハルはそう言うと、興味深そうに首を縦に振り、妙に楽しげな笑顔を浮かべた。
「ねえ、アキ。違う世界に行きたいと思ったことはある?」
彼は唐突に聞いた。
と同時に、ズリズリと膝をこちらに進めるものだから、思わずあたしは後退った。
「違う世界……?」
聞き返すのと、自分の中で理解するために、あたしはその言葉を反芻する。
なにかしら、違う世界って?
「それはあれ? テストが嫌だとか、家が嫌だとか、人生が退屈だとかで、どっかここじゃないところへ行きたいなー、って思うこと?」
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