世界が揺らぐ

6/10
前へ
/70ページ
次へ
  「あたしがハルの世界? ……に入れたわけ。あたしたちが似てるからじゃないかな?」 「ふむ」 ハルはそう言うと、興味深そうに首を縦に振り、妙に楽しげな笑顔を浮かべた。 「ねえ、アキ。違う世界に行きたいと思ったことはある?」 彼は唐突に聞いた。 と同時に、ズリズリと膝をこちらに進めるものだから、思わずあたしは後退った。 「違う世界……?」 聞き返すのと、自分の中で理解するために、あたしはその言葉を反芻する。 なにかしら、違う世界って? 「それはあれ? テストが嫌だとか、家が嫌だとか、人生が退屈だとかで、どっかここじゃないところへ行きたいなー、って思うこと?」  
/70ページ

最初のコメントを投稿しよう!

107人が本棚に入れています
本棚に追加