トウ

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  「つまりね。簡単に言っちゃえば、季節がなにかになっている時。他の季節は、自分の世界で出番を待ってるんだ」 あんまり簡単じゃないぞ? 「今は本当は“夏”だよね? 夏の間、“冬”とか“春”とか“秋”とかは、それぞれの季節の世界に閉じこもってるんだ」 「……? ……? ……?」 処理できない。 処理できない。 「たとえば、今ここ。ここは“冬の世界”だって言ったろ?」 「うん……」 「ここは、夏の間、冬が出番を待つための控え室なんだよ」 ちょっとわかってきたような……? 「それが、“春”用にも、“秋”用にも、きちんと用意されているんだ。それで、自分の季節が来たら、その世界から出て、現実の世界に姿を見せるんだよ」 「つまり」 あたしは言葉を挟んだ。  
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