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ハルと手を繋いだまま目を閉じると、ふいに音が全て途切れた。
そして、体に落ちてくるハラハラとした感触が気になって目を開けると、そこは“秋”だった。
「“秋”はこういう世界なのね……」
あたしは、ボンヤリと立ちすくんだまま、呟いた。
実際には、立ってはいないのだけれど。
あたしは、木の枝から垂れ下がった雫のような形のものの中にいた。
「ハル?」
キョロキョロとハルを探してみると、ハルは木の下にいた。
根本のあたりで、あたしを見上げて微笑んでる。
「どうしてハルは、これには入ってないの?」
「僕がこの世界に連れて来たんだよ? なんとでもできる」
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