シュウ

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  なるほど……。 全くもって、納得できるような状況ではなかったのに、あたしは「ふむふむ」と頷いた。 頭の感覚が麻痺してたんだと思う。 もう、現実か夢か空想かの区別も、今のあたしには困難だった。 「綺麗ね……」 あたしは呟いた。 木は高くて、ハルとは結構な距離があるのに、声は何故か聞こえていた。 顔も何故かわかる。 地面から、20階の高層ビルぐらいの高さはありそうな木。 何本もの枝は四方に散らばって伸びていて、その頭上には真っ赤な紅葉が咲いてた。 おばさんの紅茶と一緒にいただいた、自分ん家の紅葉まんじゅうを思い出す。  
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