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ハルの瞳が言ってる。
“ひどい”って、そう言ってる。
「本気じゃないのよ。冗談なの。……でも、あたしにはショックだった」
「…………」
「だから、あたし。弟を殺したの」
ハルは目を見張った。
当然の反応だと思う。
「弟はね。あたしとは少し年が離れてて。その時は多分、3歳ぐらいだったかな。素直でいい子だった。親は二人とも、弟をかわいがってね。前から疎ましかった。
それであの日。あたし突き落としたの。弟を。木から。紅葉の木から」
「……アキ……」
「『一緒に登ろう』って。そう言って登らせて。落としたの。弟はそれで死んじゃったの」
ハルは聞きながら、口元を手の甲で押さえてた。
あたしの目からは、何故か涙が流れてた。
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