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あたしがそう膝を抱えて呟くと、ハルはしばらく黙った後、あたしを見上げた。
そうして、何故か宙に浮いて、グシャグシャなあたしの顔を見て一言。
「アキは死んだらダメ。僕が泣くから」
「……うっ……」
ハル。ハル。
あんたはやっぱり、あたしと似てるのね。
あたし、もう気づいてる。
あんたの心の傷が、いかにあんたを縛りつけてるか。
そんで、もう理解した。
この世界がある意味を。
「ハル……」
「なんだい?」
「こっちに来て」
あたしは、雫の外に浮かんで、木に手をついているハルに向かって言った。
「次の世界に行くから」
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