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さすがにいきなり、
「ここの息子さんは、不審者ですか?」
なんて聞けるはずはない。
でも、あれだけ人と関わりたくないオーラを、ビシビシと放っている人が、いきなり出てくるとは考えにくい。
「まあー、いっかぁ」
なんとかなる、なる。
キン、コ──ン……。
チャイムの音も、他とは少し違っている。
なんだか、不思議な予感すら胸に秘めながら、あたしはドアが開くのを待った。
「……はい?」
「こんにちはー! 隣の家の坂名(サカナ)といいます! ご挨拶に伺いましたぁー!」
元気いっぱいな笑顔を浮かべ、あたしは手に持った紅葉まんじゅうを差し出した。
「お近づきのしるしに!」
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