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「まあまあっ。本当にいいのかしら? どうも、ありがとう。出来たお嬢さんねぇ」
優しげなママさんは、あたしの持ってきた差し入れを受けとりながら、言った。
「そんなぁー。できたお嬢さんなんてぇ」
「いいえ、本当に。後で、こちらからご挨拶に伺うはずだったのに……なんだか、ごめんなさいね。
お礼と言ってはなんだけど、よかったら上がって、お茶でも飲んでいって?」
「えー? いいんですかぁ?」
「ええ、是非」
あたしもママさんらしき人も、ニコニコしながら会話をした。
それは楽しかったけど、あたしはいわば“一抹(イチマツ)の不安”とやらに、取りつかれた。
こんな普通な人の子どもなら、あの幽霊さんも普通なんじゃないか?
……つまんない……。
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