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「ったく、だり~な~。まったく」
かばんを片手で持った優一が言う。
「夏休みって長いとか思ってたらいつの間にか終わってたりするよな~」
それに笑いながら海斗も同意する。
「そうそう。っで気付いたら宿題が変に残ってて、結局終わんねぇんだよな~」
「えっっ?」
「ん?」
しかし次の海斗からの反応は、優一が頭の中で描いていたものとは違うものだった。
「何だよ? まさかっ……」
それを見た優一の表情が徐々に顔が曇り始めた。
「おまえっ、裏切ったな~っ」
「いや、てっきり冗談かと……」
頭を掻きながら『てへへっ』と返す海斗だが、対する優一はへなへなと元気を無くしていった。
それは夏休みが始まる直前、終業式が終了した日の帰り道のことだった。
三人は、いつものように他愛もない話をしていた。
「ああ~、夏休みか~。俺部活もあるから宿題できね~よ」
優一は夏休みが始まる前から既に宿題をやる気は無いようだ。
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