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現在では二国からの物品的な支援等を受けながら、村人達は決して裕福ではないものの、穏やかに暮らしていた。
その平和ぼけした田舎村の片隅に、タスクとラズリーの家はあった。
村の中心地である市場から離れた、その周りの住宅地をこえたさらに先。草原を少し行った所の小さな丘に、その小屋はある。
丸太を積み上げて固定した、藁ぶき屋根のよくある小屋だ。
木板でできた出入口の前に、荷台の付いた二輪車がスタンドを立てて置かれていた。
その小屋の中で、
「それでさ、俺はその時に急いで広場に行ったんだけどさ」
「へえ……」
タスクが本を読みながら、さして興味もないように適当な相づちを打った。
丸いテーブルに置かれた湯気のたつコーヒーカップを片手で持ち上げて、静かに口に運ぶ。
中身を一口飲んで、またソーサーに戻した。
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