第一幕

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二人は昼食を取っている。 テーブルを挟んで互いに向かい合わせに座り、卓上に置かれたパンやらリンゴやらに手を伸ばして各々の空腹を満たしていた。 ラズリーは主にリンゴで。 そういえば、とタスクが本のページを捲りながら言った。 「昨日コークさんに会ったんだけど、また手伝いに来て欲しいそうだ」 「おー! おっちゃん元気だったー?」 「相変わらずな」 「ふむ。手伝ったらまたリンゴくれるかな?」 「……おまえはそればっかだな」 それほどでは、とラズリーが頭を掻いて、褒めてないし、とタスク。 「じゃあ食べ終わったら行くか」 「りょーかーい」 二人は残りのパンを全て平らげて席を立った。 各自必要な物を持って玄関へ向かう。 「それじゃあ……ルチルさん、行ってきます」 「行ってきまーす!」 誰もいない家内にそう告げて、ラズリー、タスクの順に外へ出た。 ラズリーが静かに扉を閉めた。
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