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「……?」
荷台に座るタスクが、突然後方を振り返った。
すぐそばに何かの気配を感じたが、そこには何者の姿もなかった。
「……タスク? どうかした?」
前サドルでペダルを蹴っていたラズリーが尋ねた。
二人は村の中心に在る、市場の通りを走っている。
流れていく地面に視線を落とし、タスクが訝しげに眉をひそめた。
「今なんか……」
「今なんか?」
「呼ばれたような気がした……けど、多分気のせいだ」
そっか、とラズリーは言って、
「でも、一瞬なんか"重く"なったよね」
「……」
そう言いながら目を細めた。
道に建ち並ぶ出店から活気の良い声が聞こえてくる。
二人はそれっきり無言のまま、賑わう店の間を走った。
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