26人が本棚に入れています
本棚に追加
その場所には一人の人間がいました。
どこまでも延々と広がる荒野に仰向けになって眠っています。
それ以外は何も在りません。
花も木も草の一本だって生えていません。
風が、不毛な大地を静かに撫でていきます。
ふと、人間がうめき声を上げました。
幾度か咳き込んだあと、ゆっくりとそのまぶたが開かれていきます。
「空が……、青い」
人間がぽつりと呟きました。
その双眸は青く染まり、どこまでも澄んだ青空を写していました。
ただ、それだけでした。
それ以外は何も在りませんでした。
最初のコメントを投稿しよう!