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「おっちゃん、今日もごめんねー」
恨まないでね、と言って、右手の針を二輪車へ向けて勢いよく投げた。
鈍色のそれが、空を切りながら弾丸のような速さで飛んでいく。
針は狙い通り寸分の狂いもなく、一直線に弧を描き、直後、獲物を捉えた。
大きな破裂音が轟いて、間もなくして男を乗せた二輪車は横なぎに倒れ込んだ。
転倒と同時に男は草の上へ投げ出され、突然のことにわけも分からず、目を白黒させている。
ラズリーはその一部始終を見守って、段々と遠ざかる中年男性に手を振った。
「じゃあ、また明日ねー!」
人間二人を乗せた二輪車は、あっという間にその場を走り去り、あとには前輪に針の刺さったパンクした二輪車と、悔しそうに舌打ちした中年男性が残っていた。
青い空には相変わらず雲が流れている。
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