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今までの人生は何かしっくり来なかった。 大学を卒業して最初に勤めた小売業の仕事は3ヶ月でやめた。映画が好きという理由で映画館でのアルバイトを始めたが、両親は賛成していなかった。良くも悪くも親は子に「普通の幸せ」「普通の生活」と言うものを求めるようだ。 そんな普通の親の元に育ったからだろうか、僕は普通でないものに惹かれた。小さな映画館が潰れシネマコンプレックスが増えてゆく昨今に、小さなこの映画館でのアルバイトを選んだのもそういう経緯があってのことだと思う。 今時テレビ局がスポンサーにつかず、配給が大手でもない映画などはいくら映画雑誌で高評価を受けようと、地味という理由で一般受けしないのが現実だ。おかげで館内は汚いし給料も安かった。それでも何とかやっていけてるのは数少ない常連のおかげだろう。まったく足を向けて眠れない。
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