キミをみている

別れ

「今日は何して遊ぶ？人形かなぁ。本読もうかなぁ。何がいい？ｷﾞﾝ。」

ネコに話しかけるこの少女。名前を｢ﾊﾙﾋ｣という。

「明るい、暖かな陽のような子に…」

という、親の願いが込められた名前の彼女は、小学生の現在、「学校以外では」親の願ったような子供に成長している。

……「学校以外では」。そのことについては、後程……。

少女の問いかけに、鳴くことはせず、そばに寄り添いじっとしている、このネコ。

名前は｢ｷﾞﾝ｣。
漆を塗ったような艶やかな黒い毛並み。
何でも見透かしていそうな銀色の瞳を持っている。

彼の名前が、いかにして｢ｷﾞﾝ｣になったのかは、名付け親であるﾊﾙﾋの年齢や、ｷﾞﾝの特徴を考えれば容易にわかるだろう。

…そう。

｢この子の目、銀色だっ!キレイ。だから、名前はｷﾞﾝにしよう。いいよね｣

…である。

とても仲のいい、この一人と一匹がいかにして出会ったのかも、また後程……。

じっと寄り添っているｷﾞﾝの様子を見てﾊﾙﾋは満足気にｷﾞﾝに微笑み、ｷﾞﾝに聞かせるように本を読み始めた。