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「あと……どれくらいでつくのでしょう……」
「もう二時間ほどの御辛抱ですので」
簡単な礼を必死ながら返して、
「げろげろげろげろげろげろぉ……」
また吐いちゃいました。
そして船のデッキから身を乗り出してボトボトと海に落ちていくわたしの朝ご飯達。
口の中で酸っぱい臭いを噛み締めながら、わたしは優雅な船の旅などを夢見ていた数日前のわたしを呪いました。
どうやら。いくら綺麗な青い海でも。今のブロークンハートなわたしの心や体を癒すことはできないらしいのです。むしろ波で船を揺らしてわたしの酔いを悪くさせてくれています。つまりすべては海の馬鹿野郎が悪いのですね。たぶん。
「あの、お水でも貰って来ましょうか?」
背中を擦り、わたしを本当に心配してくれる遥香には本当に感謝です。えぇ。母なる海なんかよりもずっと偉大なんです。
とか何とかを本気で考えていた時。ばしゃーん、と。一際大きく船体を揺らす波が。思いっきりでしたよ。ですから、
「――っぷぅ……げろげろげろげろげろろおー……」
……えぇ。もちろん吐きましたとも。遥香が退いてしまうくらい盛大に……。
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