初恋のアナタ

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  一緒に歩いていた男たちと別れ、一人で桐谷高校の校門をくぐった。 私が入るなり、周りの男たちの視線は私に向かってくる。…もう慣れたけど、気持ちの良いものでは無い。 そんな視線の根源にも緩く笑って返せば、男は単純だから、自分に気があるのではと思う。…そんな訳じゃなくとも。 が、私は視線に構わず、クラスが書いてある紙を見る。1組から順に探していけば、すぐに見つかった。 「……1年1組か」 そう、ぽつりと呟いて、ゆっくり歩き始めた。教室へと。 ガラガラッ、── 勢い良くドアを開け、中に入ると、もう友達作りは始まっていて、いくつかの塊に別れていた。 そうやって群れている奴らをアホくさいと馬鹿にしている私も、やはり、友達が居ないのは寂しいもので。 そう、嘆いたところで友達が出来るわけも無いと、周りから突き刺さる視線を無視して、席に座った。 「あ、あの…、」 そんな寂しい気持ちを、はぁ。と大きく大袈裟なため息を吐いてごまかし、机に突っ伏していると、遠慮がちな声がかかる。 面倒くさいと思いながら、顔を上げて、何?と微笑めば、目の前には、私より少し背の高い女の子が立っていた。 「やっぱり可愛い~!!!」 私が訳が分からず首を傾げると、彼女は口と鼻を覆うように手を置いてから、机越しにガバッと抱き着いてくる。 「ちょ──」 「私、佐久間ゆき」 私が苦しそうな声を上げれば離してくれたものの、彼女は私の両肩をガッチリ掴んで離してくれない。 それどころか、自己紹介までしてくる始末。 初めての経験に私は目が点になりながらも、彼女のキラキラとした好奇心の瞳に敵わなかった。
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