初恋のアナタ

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  「──ったく…。なんで、私が、こんな事…」 「しゃーないでしょ。みちるが、川崎の授業ん時に携帯なんかイジってるから…」 「だって、アキラが…」 「アキラ?また、新しい男だね。何?みちるの彼氏?」 「違う。自分を彼氏と勘違いしてるサブい男」 「うわぁ。ひっどーい」 入学式から一週間。 私は、たくさんのプリントを抱えながら廊下を歩いていた。私の横にはケタケタと笑うゆきの姿。そんなに暇なら手伝ってよと言いたいが、彼女が手伝ってくれない事は、この一週間でよく分かっていたので頼まない事にした。 何故、こんな状況になったかと言えば、全ての原因は会話の通り、アキラのせい。 アキラっていうのは、私をナンパしてきた顔は悪くない男なんだけど。 そいつが、授業中にも関わらず、何度も何度も執拗にデートのお誘いメールを寄越すから、耐え切れなくなった私がいつものセールスメールで甘く断ろうとしたら、化学の川崎っていう厭味ったらしいで有名な先生に見つかり、プリント運びを命じられたっていうわけ。 「アキラとは二度と連絡取らない…」 そう、私がしゅんとしながら言えば、ゆきの手が私の頭にぽんと置かれ、 「おーおー。そうしろ、そうしろ。あんた、来る者拒まずだから、バチが当たったんだよ。たまには拒め」 と、声が降ってくる。そんな彼女の言葉にニタリと笑って、 「だって、私が何もしなくても寄ってくるんだもん。向こうから」 と、冗談っぽく返せば、 「へーへー。そうっすか。モテる女は大変っすな」 そう、私の頭から手を離しながら言うゆき。 「それじゃあ、モテないあたしは、便所に行ってくるから、あとは一人で頑張って」 「ちょ…、待ってよ。しかも、便所って何。便所って…」 片手を上げ、去って行くゆきの背中を、私がプリントを抱え、呆れ顔で眺めていたのは言うまでもないけど。
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