初恋のアナタ

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  「っぐ…。階段は無理でしょ。階段は…」 ゆきと別れ、視界を遮るんじゃないかという程、何枚も何枚も重ねられたプリントを抱えながら、歩く事、数十秒。私の目の前に現れたのは、階段。 積み重ねられたプリントのせいで足元が見えない私には、階段を昇る事など、到底出来そうにない。が、昇らない事には目的地である化学準備室には着けないのだ。昇らない訳には、いかない。 私は、とりあえず、手探りならぬ足探りで階段を慎重に昇り始めた。が、予想通り、一段昇るのにも一苦労だ。 こういう時、頼りになるのは自分に好意を持つアホな男共なのだが、こういう時に限って、人通りは少ない。 ──あぁ、誰でもいいから、半分持ってよぉ…。 そう、心の中で泣き言を言ってみるけど、ゆき以外の女の子には目の敵にされている私を女の子は助けてくれるはずがなく、男も面倒くさいと言わんばかりの顔で私を無視。 親切な人なんか居ないのね。 なんて、心の中で泣きながら、再び足探りで階段を昇ろうとした時、後ろから声がかかった。 「大丈夫?」  
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