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「………フランツ…」
今までにこんなに取り乱したフランツは見たことがない。
だからレオンは驚いた。
「…お前は、こんな所に居ちゃいけないんだ。」
あとに続いてまわりの子供達も喋りだす。
「そうだよ!マリアに行けば、ちゃんとベッドで寝れる!」
「ご飯も食べれる!」
「服だってくれる!」
「…今よりずっと幸せになれるんだ……。」
みんながレオンの幸せを願っていた。
「……じゃあもう行くから……明日、絶対行くんだぞ。」
そう言ってフランツ達はレオンの部屋から去った。
レオンは一晩悩みつづけ、朝になった。
孤児院の一同は顔を洗って朝食を済ませ、午前10時頃に軍の車が走ってきた。
中から詰め襟の黒い軍服を纏った男が出てきた。
襟と袖口には二本の金のラインが入っていて、白い手袋と帽子着用している。
これが彼らの…マリアの正装なのだろう。
軍人が来る前にレオンはロイスに呼び止められた。
「―…レオン!お前は邪魔になるから外で遊んでろ。」
「……分かってるよ。」
レオンは昨日殴られ左頬が一晩経って一層腫れ上がって居るのを気にしつつ、外へ出た。
外に出ると、軍服を着た背の高い男が立っていた。
さっき孤児院に入っていった男とは別のコートのような丈が膝まである軍服で、金のラインは三本だ。
("お偉いサン"ってヤツか…)
レオンは感心しつつ黙って通り過ぎようとした時だった…――。
「おい、坊主。」
渋い声に呼び止められた。
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