第一章

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  別れの時がきた。 一度マリアに入ればもうここに戻ってこれるかの保証はない。   「元気でな。フランツ、みんな……。」 「あぁ。僕達もレオンに負けないように頑張るからな。」 清々しい顔で二人は見つめ合った。   その後、横にいたロイスと目があった。 ロイスはレオンから目をそらさなかった。 そして頭を下げた。 「……すまなかった。」 まさかロイスからそんな言葉が出るとは思わず、驚いた。 「私はお前に散々酷い事をしてきた。許してもらおうなんて思っちゃあいない。だが、もう同じ過ちは繰り返さない。それがお前に対する償いだ。」 「……ロイスさん。」 久しぶりに名前を呼んだ。 彼の事が憎かった。殺したいほど憎かった。 だがそうしなかったのは…―。 「アナタはこの孤児院に捨てられた俺を見捨てず、育ててくれた。感謝してます。お世話になりました。」 レオンはロイスに手を差し出した。 ロイスは少し驚いた顔をしたが、今度は今までに見たことのない穏やかな表情で、レオンの手を握りしめた。
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