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別れの時がきた。
一度マリアに入ればもうここに戻ってこれるかの保証はない。
「元気でな。フランツ、みんな……。」
「あぁ。僕達もレオンに負けないように頑張るからな。」
清々しい顔で二人は見つめ合った。
その後、横にいたロイスと目があった。
ロイスはレオンから目をそらさなかった。
そして頭を下げた。
「……すまなかった。」
まさかロイスからそんな言葉が出るとは思わず、驚いた。
「私はお前に散々酷い事をしてきた。許してもらおうなんて思っちゃあいない。だが、もう同じ過ちは繰り返さない。それがお前に対する償いだ。」
「……ロイスさん。」
久しぶりに名前を呼んだ。
彼の事が憎かった。殺したいほど憎かった。
だがそうしなかったのは…―。
「アナタはこの孤児院に捨てられた俺を見捨てず、育ててくれた。感謝してます。お世話になりました。」
レオンはロイスに手を差し出した。
ロイスは少し驚いた顔をしたが、今度は今までに見たことのない穏やかな表情で、レオンの手を握りしめた。
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