第一章

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  車が動き出す。   ロイスは一歩も動かず、呆然と立ち尽くしたままだ。 フランツ達は走って追いかける。 "感謝してます。今までお世話になりました。" ロイスの中でその言葉が何度も繰り返される。 自分はレオンに何をした? 何かしてあげられたのだろうか。 このまま別れては後悔する。 そう思ったロイスはフランツ達のあとに続いて走る。   そして精一杯叫んだ。 「レオン!しっかりやれよー!!お前ならどこへ行っても大丈夫だ!」   どんどん加速する車の窓からレオンは顔をだして、その言葉を聞いた。 「……ロイスさん…。」 思わず涙がこみ上げたが、何とかこらえた。 流石に追いつけなくなり、ロイスと子供達は足をとめた。   皆息を切らしている。 そんな中ロイスがみんなに声をかけた。 「……さぁ帰ろう。」 優しい笑みに皆安堵した。 「「はい!」」   ロイスも子供達も、ここから再スタートするのだ。
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