第九章

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中に入るとそこは広いには広いが埃っぽくて薄暗く、木の箱が無造作に詰まれていた。 今まで見てきた各部隊の部屋とは大違いで、ここには何らかの資料や机も椅子もない。 そしてそこにはざっと見て20人くらいの人間がいて、談笑したりトレーニングをしたりと各々過ごしていた。 しかし、レオンが入って来た途端に皆静まり返った。 「……あの…」 レオンが何か言わねばと口を開いた時、木箱の一番高い所に座っていた男がそこから軽々と飛び降りて、ゆっくりとこちらに歩いてきた。 レオンは思わず後退りしたが、彼はレオンではなくその隣にいた少女の肩をガッシリと掴んだ。 「"ノア"…、これはどういうことだ……」 男の手は震えており、怒っているようにも見えた。 レオンは"ノア"と呼ばれた少女が心配になったが、それとは裏腹に周りのものはニヤニヤと笑っていた。 「俺はなぁ!お前を男を"お持ち帰り"するようなふしだらな子に育てた覚えはなーい!!!!!!!!!」 「……………………………………………………………はい!?」 レオンは訳が分からず、目を丸くした。 「はぁ、………ばっかみたい」 ノアは鬱陶しそうにため息をついた。 「ぶはははは!」 「あいつ馬鹿だ~!」 「てか明らかにそんな雰囲気じゃねーだろ!!」 さっきの静けさが嘘のように周りの者が笑い出した。 だが、笑われている本人は至って真面目だった。 「テメェ!よくもノアをたぶらかしやがったな!?」 「え!?ちょ……」 男は突然レオンに殴りかかってきた。 が、しかし何者かが横からその手を掴んだ。
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