第九章

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「今から私が話す事を信じるか信じないかは…レオン、君次第」 「……」 レオンはゴクリと唾を飲んだ。 ―――… 今から五年前 薬の調合の天才と呼ばれた若干16歳の軍医がいた。 正義感も強く、真面目だった彼は周りの期待に応えて様々な新薬を開発した。 ある日、金に目が眩んだ大人達は彼にとある薬の研究を依頼した。 それは人々を救う物だと信じ、彼は研究をした。 しかし、研究を進めていくうちに彼は自分のしている薬の危険さを知る。 だが気付いた頃には遅く、既にその薬は売買されてしまっていた。 その後彼の研究した酷い依存性と毒性を持った薬は大流行し、それを製造した彼は捕まってしまう。 しかし薬に関する知識と技術を惜しまれ、彼は再び軍医として生きる事を許された。 その二年後、マリアで一つの事件が起こる。 当時15歳だった少年は情報収集の能力を買われて、マリアの諜報活動を主に行う部隊に配属された。 彼には唯一の家族である病気の妹がおり、そのためには高額の治療費が必要で、一生懸命働いた。 そんな彼に目を付けた人物が、高額の報酬を出すと言って仕事を依頼した。 彼は妹の為だとなんの疑いもなく依頼を受けた。 しかし依頼された場所に行くと、大勢の警備の者に囲まれた。 そう、彼は囮に使われたのだ。 命からがら逃げる事ができたが、その際左腕を切り落とされてボロボロの状態でマリア本部へと帰った。 安心するのも束の間、彼は依頼人に罪をなすりつけられ捕まってしまう。 妹はそのショックと病気の悪化により亡くなった。 その後釈放されて、年齢的にもまだ更生できると判断され、再び軍人としての人生を歩んでいる。      
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