2章 ~アストレア~

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「おはよう」 「おはよ」  いつものように、みんな制服に着替える。  てゆーか、着替えるしかない。  そして誰も、破綻の話をしない。  うーむ、不自然極まりない……。  ロッカーを開けると、当たり前だか、見慣れた制服が下がっている。  なんだか、溜め息が出た。  アストレアの象徴で、自信とプレッシャーの両方だった制服が、今はいまいましい。  紺のダブルのスーツ(しかも金ボタン)なんていう、古典的な制服で外に出たら、一発で丸生のアストレアだとわかる。少なくとも、同業者には。  マジ勘弁!  今年流行のテーラードジャケットと、膝丈タイトスカートを脱ぎ、ダザダザ(という言葉がダサい)な制服に着替える。  そこへ同期の渡部飛鳥が来た。  名前も派手だが、顔も派手で、ついでに恋愛も派手な女。  職域で略奪愛を暖めながら、弁護士と付き合い、別の企業の上席と不倫中。  もちろん3人とも既契約者。  本命は弁護士だそうだが、だったらなんで略奪しているのかもよくわからないし、不倫の彼氏にも本気のふりをしているのは、なぜ……?  私は5股でも、みんな知ってる。  だって恋愛なんて遊びだもん。  結婚は別なんだから、精一杯遊ばなきゃね。
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