2章 ~アストレア~

6/18
前へ
/39ページ
次へ
「ねぇ、結衣」  はい!?  聞き流していたのがバレたのか、飛鳥は私の名前を呼んだ。 「何?」  平然を装ってみる。  逆にわざとらしいかな…… 「囲ってるブラック達、大丈夫だった?」  囲う言うなー!    “ブラック”=“不純な彼氏”。  アストレア――それも特に、一期生だけで通じる隠語だ。  まあ……囲ってるでもあんまり間違ってない。  それより。  二期生いるとこで言うなー!  みんな、知ってそうだけど。 「大丈夫だったよ。また今日、みんなに連絡する」  さらっと答えてみた。本当に大丈夫だったし。  一人くらい離れてくかと思ったけど、意外だった。  それくらい保険に興味がないんだろうなあ。  5人とも独身だし、金持ってる遊び人ばっかだしね。  飛鳥は、 「あ、そう」 とだけ、興味なさそうに頷いた。  そういう話は、後で一期生だけでしようよ。全く。  私には何もないけどさ。  残念ながら。
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加