2章 ~アストレア~

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 飛鳥は興味を失ったからか、時間がなくなったからか、さっさとオフィスへ向かった。  私も着替えたので、他の同期らとオフィスへ向かう。  いつもは、職域訪問への準備で慌ただしいのに、今日はみんな手持ちぶさたで、新聞を広げている。  ここでも、誰も破綻の話はしていなかった。  何も知らないのだから、話ようがないんだけど。  チーフも課長もオフィス長もいない。  きっと部長室には部長もいないのだろう。  私の席からは、オフィスに隣接した会議室のドアが見える。今は閉まっていた。  声は聞こえないけど、たぶんそこでミーティング中なんだろう。  私達に、破綻をどう伝えるか。  一期生と二期生しかいない名古屋アストレア。    たぶんみんな、どう辞めるかを考えてる。  上役らは……  どう言えば私達が辞めないかを考えている。
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