序 ~2008年~

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 もう、生保の破綻はない……と思っている。  でも、どうしても気になるのは、スタグフレーションだ。  業界3位だから大丈夫……?  本当に?  私の会社は7位だった。それでも大手7社の1つだった。  溜め息をついて、保留した。約束は明日。  まだ24時間後だ。  やっぱり調べよう。  ハンコをケースにしまい、ダイニングテーブルを立った。    リビングに置いてあるパソコンデスクは旦那の趣味なのだが、なかなかセンスがいい。見事にナチュラルかつシックなリビングに溶け込んでいる。  優しいし、浮気もしないし、稼ぎもいいし、我ながら、いい男を選んだと思う。  顔は微妙だが、背は高いから無問題。  これで子供ができれば理想の家庭ができあがるのに、子宮内膜症が邪魔をしていた。  来月は、手術。  傷ができるのが結婚したあとでよかった。  電源ボタンを押し、肘をついた。  余計なソフトが入りまくっているので、最大512MBの古いパソコンは、立ち上がりが腹立たしいくらい遅い。  ぼーっと待っていると、昔の男達の顔が浮かんできた。  あの時の彼氏たち、どうしてるかな?  もう私も30超えたし、みんな結婚して、私のことなんて忘れてるだろうなあ。  みんな、保険どうしてるだろ。  全員、職域の契約者だったんだよね……。
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