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卒業式が終わり、生徒達が校庭に出ていく。私は、真美と校庭に向かう。
啓太は・・・?啓太の姿を探す。
いた。友達達とはしゃいでる。
校庭には、満開の桜の花びらが風に舞っている。
啓太が、どんどん離れていく。
三日前。告白するチャンスはあったんだ。
啓太と私。二人きりの教室。何げないいつもの会話。
「啓太、いつ東京行くの?」
「あぁ。卒業式終わって、次の日だよ。」
「東京の大学って、どんなんだろうね。楽しみだね。」
「おぉ。どんなんだろ。初めての一人暮らしだし、不安もあるけどな。」
啓太、好き。すっごく、好き。
今まで口にしてないこと。今、今言わなきゃ、もう・・・。
私は、思いきって、「啓太、あの・・・。」
ピピピピピ、ピピピピピ・・・。
啓太の携帯が鳴った。「もしもし。」話ながら、歩き出し、教室を出ていく啓太。
あ・・・。
そして、今日、卒業式。あの時が、最後のチャンスだったんだ。
ちょっと変だけど、啓太の後、追いかけて、電話終わるの待って。
「啓太のこと、好きなの!ずっと好きだったの!」って。
言うべきだった。
でも、でも・・・。
言えなかった。
桜舞う校庭を、友達とふざけあって歩いていく啓太。
さよなら。さよなら、啓太。
私は、思いを伝えられない意気地なし。
その笑顔を見るのも、今日で最後。
友達のまま、さよなら・・・。
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