市川朝子について。

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市川朝子について、多少なりとも栄未は知っているつもりだった。15年前、18歳の時新進気鋭の作家として本を何冊か出版した後に画家としても作品を発表した。 「私が描く世界は基本的に、弟が見ている世界を具現化したものなんです」 かつて受けたインタビューの中で朝子はそう語っていた。弟とは勿論、京のことだ。 京と世界感を共有するようになって、朝子は次第に不眠を訴えていた。相談は弥亜子にしていたらしい。朝子と同い年の彼女は、朝子の変化にいち早く気付いていて何もできなかった。
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