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世界が一変したのはつい1年と3ヶ月前。それは一人の不思議ちゃんと出会ったことが始まりだと思う。
「一緒に飲みませんか?」大学のOBとして新歓に招待された俺は文字通り閉め出されたカンジで、パーティーを横目に一人カウンターで飲んでいた。そんな俺の隣に彼女はやってきた。
「良いけど、俺新入生じゃねぇよ?」
「関係ないでしょ」
そう言って隣のスツールに腰かける。彼女は裾にレースのついたミニスカートを穿いていた。胸元には一文字、光るイニシャルのペンダントがぶら下がっていた。どこか年期の入った光かたをしていた。
「…何でうちの大学入って、文学部なの?うちなら法学部とかじゃないの?」
新しい煙草に火を付けながら彼女に問う。マッチの火を眺めながら彼女は静かに言った。
「誰か、ここにあたしの居場所を作ってくれる人がいそうだったから。あたしを理解してくれる人が」
久々に俺は息を呑んだ。彼女の言葉は決して殺されることなく、きちんと機能をはたしていた。そんな彼女、栄未に俺は興味を抱いた。
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