一年と3ヶ月後。春

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仕事中の京はたとえ目の前にあっても電話を取らない。仕方なく栄未は一人がけの椅子から立ち上がって受話器を取った。 栄未の応答に、相手はしどろもどろになりながらも必死で用件を伝えてきた。保留ボタンを押し、京に話しかける。 「京ちゃん」 「誰?」 ぶっきらぼうに答えながら、ペンだけは動いていた。「警察。…市川朝子って人、知ってるか?って」 その名前を聞いた瞬間、京の顔が青ざめるのが一瞬で分かった。
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