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「ああっ何だって?」
「だから、そいつ嫌がってるって言ってるの。」
そう助けてくれたのは、さっきぶつかった彼だった。
僕よりもとても体が大きくて、背も高くて、男らしい顔立ち。長髪過ぎず短髪過ぎず、黒い髪が微かに風で揺れる。学ランの襟元を大胆に開け、白いYシャツもまた開かせ、覗かせるのは健康的な肌。
袖も中のシャツと共に捲くられていて、その腕には適度な筋肉がついている。
見れば見るほど、見とれてしまう。
こんな人、どうして今まで気付かなかったんだろう。きっと、3年何だろうな。それか2年か。
ああ、あんな風に僕もなりたい…
でもどうして、こんなにも胸が熱くなって、ドキドキしてしまうんだろう。憧れとはまた違う感情。そんな事を考えていると、彼にひょいと体を持ち上げられる。
「立てるか。」
自力では立てなかったものの、いざ立てば立てるもの。それでもまだ足元がふらついて彼に寄り添った。
上手く声が出ず、ただただ首を縦に振った。
「返せよ。俺が先に見つけたんだぜ。」
「こんなに怖がってるんだ。そう簡単には返せないな。おまえも何か言ってやれ…って、おいっ?」
色んな感情がいりまじり、ついには顔を真っ赤にさせてそのまま僕は気を失っていた。
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