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目を覚ますと、そこは保健室だった。
あれ、僕どうしちゃったんだっけ。
えっと、男に告白されて‥逃げてて、ぶつかって…あっ
「あの人はっ?」
がばっと起き上がり、辺りを見渡すと、直ぐ横には彼が読書しながら座っていた。
「大丈夫か?」
頁をめくる手を休め、僕の方へ向き直す。
きっと、彼がここまで運んでくれたんだろうな。それで今までずっと、傍に‥
そう思うと、嬉しくなってまた頬が熱くなって来ちゃった。
「熱、あるのか?」
彼の掌が僕の額にあてられる。冷たくて気持ち良い‥
じゃ、なくてっ
「大丈夫っあの‥ここまで運んでくれて、あ、ありがとう‥」
これ以上顔が赤くなってるのを見られないように思わず下を向く。
ああ、でもこれじゃ態度悪い人って思われちゃうかな‥
「別に、どうってことないし。何があったか知らないけど、とりあえずおい返しといたから。」
そう言い彼は読んでいた本を鞄の中にしまい、身支度を済ませる。
「それじゃ、俺もう行くから。」
椅子をしまい、鞄を背負うように持ち出ていこうとする。
「待ってっあの、俺っ近藤将太郎。君は?」
「…石田亮。」
「今度、お礼を…」
言い終わる前に、彼は軽く頭を下げ、保健室を後にした。
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