149人が本棚に入れています
本棚に追加
彼が出ていってから、どれくらい僕は扉を見続けていたんだろう。
胸がムズムズする。彼に初めて会ったあの時から。
今も、ムズムズが止まらない。
何でこんな気持ちになるんだろう。
小さく溜息をつきながら、視線を手元に移す。
すると突然こっちに向かってくる足音が聞こえたと思ったら、思いきり扉が開いた。
「将太郎っ」
そこには、血相変えた幼なじみの今村賢司の姿が。
「わぁっびっくりしたぁ‥どうしたの?」
「どうしたの、じゃねぇよ。はぁ…でもまぁ、起きあがってても平気なくらいなら大丈夫か。」
賢司はそう言い、疲れた様子でベッドに腰掛ける。
賢司とは、家が隣同士で生まれた時からほとんど一緒に育った。だから、兄弟みたいなもの。
悩み事とかあっても、いつも賢司に相談してた。その度、適切なアドバイスしてもらってる。
もしかしたら‥胸のムズムズの原因も分かるかもしれない。
「あのねっ…て、何煙草なんか吸ってるんだよーっ」
ずっと俯いて考え込んでいたから気付かなかったけど、賢司のやつ、堂々と煙草なんてふかしていた。
「んだよ、今までずっと会議で吸えなかったんだよ。」
煙草をくわえたまま、換気の為に窓を全開にさせる。
最初のコメントを投稿しよう!