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「えぇっと、…あれ?」
ここは図書館の一画。いつもと同じ土曜日。少し違うというなら春休みということもあって、課題に追われる学生達がちらちらと視界に入る。
「ない。ここじゃないんかなぁ?」
憐れな学生達を横目に、もう一度棚を確認する。
私は樋村 鴬<ヒムラ ウグイス>。21歳の会社員。決まって土曜日は図書館に入り浸っている。まぁ、特になにもすることがなく、暇を持て余しているからというのが理由。
友人とか同僚達と買い物やらドライブやらに休日を潰すのが普通の過ごし方かもしれない。
別に友人がいないわけでも、同僚と仲が悪いわけでもない。
が、習慣とは時に恐ろしいもので今もこうして図書館にいたりする。
………なんか情けない(笑)。
「……………あった☆」
さらに情けないことを上乗せすると、今日は誕生日だったりする。お祝いしてくれる人はいない。
いるならここにいるわけないし(笑)。
…あ、いなくはないか。メール入るなぁ、おめでとうって。
案外切ないよね?
目当ての本を取り、いつもの席ヘ向かう。
一番奥の少し暗い窓際の席。
あまりというか滅多に人の来ない私だけの場所。
(自分でそう思ってるだけだけど)
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